『文豪の女遍歴』(小谷野敦/幻冬舎新書)

読了。面白い。

●最近あらゆるジャンルで目にする、いわゆる初心者向け質問の根底は、「とにかく失敗と損が嫌(お金の問題じゃない模様)」「遠回りや試行錯誤はアホがやること。最速最短の答えを教えろ」「物事には『正解』があるという謎の信念」あたりに起因すると思われる。
●「体を売ってお金を稼ぐのは良くないこと」って風潮で水商売が下に見られたりするけど、残業のし過ぎで体壊して辞めてく人を何人も見てきた身からすればサラリーマンの方がよっぽど体売って稼ぐ商売だよ
●昨日職場の年配の方が「近頃の若者はすぐ辞める、心が弱くなってる、俺の頃は〜」とか語っててまた若者の悪口かと思ったら「昔は無茶押し付けられても数年耐えればいい思いできるって夢が見えるから皆頑張れた、それが今は無ぇ、そりゃ心折れて働かねぇよ馬や牛じゃねぇんだから
●作品を書いてる最中は正気になってはダメです。「駄作だ」と気付いたら書ききれません。「最高傑作だ」と思い込んで書きなさい。書き終わってから正気に戻ること。 となぜか漢文の先生が授業中に言ったのずっと覚えてる
●人は「美しいもの」にお金を払う。これは人、物全てに当てはまる
フリーランスの立場は不利なことだらけだけど、それでも満員電車と無縁でいられることと会議に出なくて良いことだけはありがたいと思っている。会議って、黙ってるのはストレスだし、かといって発言するのはリスク大きいしで、ひとつも良いことがない。いったい誰が得するんだ
●結局、最高クラスの人材なんてのは「みんなやりたい事がある」んだよ。それを掻き集めて何かしようと思ったら、もうお金しかない。お金を積んで「貴方の夢にもお金が必要でしょう? だから今回は私の夢に協力してください」みたいにやるしかない。
個人主義とわがままの違いを弁えた者が個人という定義にしよう。未成年の自由が制限されている唯一の理由は、彼らがまだ個人にまで育ってない、とみなされるから。本当のところ、個人主義を確立しているのならその時点で成人と見なすべきだし、そうでなければ還暦過ぎても成人じゃない
●定食屋さんで「あぶりサーモン丼、ごはん大盛り」を注文したら店員さんがいきなりでかい声で「さあ問題でぇーす!!!」って言い出して何のクイズが始まるんだとビックリしたけど、「サーモン大です」って厨房に通しただけでした。
●女子ならわかると思うけど、好きな人に可愛いって言っちゃうのって、女の子みたいとか顔がとかそういう意味での可愛いじゃなくて、なんかもう全てをひっくるめて愛おしいんだけど語彙力不足で可愛いしか出てこないの可愛いだからわかってほしい。
●【LINE IDの断り方(3)】 「ごめんね。仮釈放中だからLINE IDは教えられないの」
●僕はTwitterを始めて心から理解した。 「人間を愛していない動物愛護の人は全く信用できない」 自分の愛護したい生き物以外を愛護出来ない人は俯瞰的視野を極端に欠き、周囲の人間を傷つけ、結果的に動物達を苦しめる。
●「尻の穴が小さい」は侮辱なのだから、当然「お前、尻の穴ガバガバだな」は褒め言葉ということになる
●「手紙を読めば、半分会ったようなもの」 東アフリカ
●「彼の意見はカヌーの底にたまった水に似ている。右に行ったり左に来たり」 ナイジェリア(エフィク人)
NHKで「なぜ若者は空気を読むのか?」みたいなのやってるけど、むしろなんで年配者は身勝手なのか、をやれよ